カテゴリー「本」の23件の投稿

オピニオン掲載「『必要』を知る――注力すべき点が見える」

 地元の上毛新聞に書いた文、5回目です。

http://www.raijin.com/news/kikaku/opinion2012/opinion20120717.html

 うお、もう次のが載ってしまう、ということで、今ごろ慌てて。

 ここで書いた『古書修復の愉しみ』(アニー・トレメル・ウィルコックス著 市川恵里訳、白水社)は、ずっとブログで書きたいなーと思ってた本です。
 本好きにはちょっとたまらないものがあります。製本とかしてみたくなります。
 それから、初心に帰れる本でもあります。ときどき、読み返したくなる本です。


(こちらは新装版)

絵本 "Pitschi" Hans Fischer

 図書館って、洋書の絵本も置いてあったよなー。それでたしか何年か前に英語以外の絵本にも力入れてて、ボランティアか何かで訳つけてなかったっけ?
 と思って覗いてみたら、いかにもドイツ語~な背表紙を発見。まあ、英語でしたが、これは…と著者のプロフィールを見ると、やはりスイスのひとで、元はドイツ語みたい。
 というか、この本も著者もすごく有名らしい。知らなかった! ちょっと前に石川で展覧会してたそうです。


ドイツ語版(リンク先のAmazonで中が少し見られます)


日本語版(小さいサイズもあり。訳は石井桃子さん)

 まず手にとって、絵がかわいいー。犬びいきなわたしでもやられるぞ。そして、ぴっちをはじめ、名前がかわいいー。ぴっちの家族が、Mauli、Ruli、Grigri、Groggi とかね。お利口な犬も登場していて、こちらは Bello。

 お話は、きょうだい猫とは一風変わったぴっちがほかの動物になりたがって、「わあ、いいな!」と近寄っていっては、「やっぱりだめだ!」をくりかえすのですが……。この過程がね、ぴっちがまっすぐで気持ちいい。
 で、これ、ちょっと驚いたのですが、ぴっち、猫なわけじゃない? だからやっぱりほかの動物の真似するのも無理があるわけで、大変な目にあって、重病になってしまうんです。病気……。飼い主というか一緒に暮らしているおばあさんはもちろん、それまで会ってきた動物たちもすっかりぴっちのことを好きになってるから(読み手のわたしも)すごく心配して、みんなお見舞いに来てぼろぼろ泣いてる子までいる。
 でも最後は、思わず顔がにっこりする終わり方です。

 この本は "Der Geburtstag"/『たんじょうび』の続編だそうで、そちらも読んでみました。おばあさんの誕生日をみんなで祝う、こちらは犬のベロが活躍する話です。最後にちょっと、ぴっちが出てくるんだけど、そのときは続編のことは考えてなかったそうです。
   

本『世界の絵本・児童文学図鑑』

 図書館に入ってすぐ、新刊コーナーのところを通りすぎようとしたら、この本が目に入りました。
 図鑑という名だけあって5センチはありそうな分厚さ、そこにこのタイトルがきたら、そりゃあ目に留まりますわ。手にとりますわ。

 書影からおわかりのとおり、元は英語の本です。イギリスかな? 監訳者覚え書きを見ると、紹介されている本を読んでみようと思う読者のために、邦訳がある本の情報にこまかく気をつかったそうで、これは手間がかかってる。というか、1001冊の本を選び抜いた原書自体、すごい労力だ……。しかも、『墓場鬼太郎』までとりあげられている、とある。まんがも含めて、なんです。
 それで、おお、日本のはどんなのがあるのかなーと、人名索引を見てみると、うーん、面白い。

安野光雅
佐野洋子
せな けいこ
手塚治虫
鳥山明
藤子不二雄
まどみちお
水木しげる
宮崎駿
宮沢賢治

 どの作品が選ばれているかは、ぜひご自身で確認してみてください~。ほかに作者不詳として、おとぎ草紙と桃太郎がありました。わたしとしては佐野洋子さんの『100万回死んだねこ』が熱っぽく紹介されててニヤつきました。

 さて、こうなるとドイツ語ものがどうなっているか気になる。調べてみましたよ、原題がドイツ語になってるものを。
 結果は、さすがに日本より多いですね、50冊。そのうち邦訳が出ているのが34。日本の児童書業界はすごいですね。全体をばーっと見ても、1001冊のうちかなりが訳されてます。

 ドイツ語圏の作品、せっかく調べてメモもとったのですが、ここに全部書きだしてしまうのも気がひけるので一部だけ。

 まずは絵本が6冊。

Die lustige Tante
ねこぼっこ
Was denkt die Maus am Donnerstag?
にぎやか色のちび
おやすみ、くまくん
うんちしたのはだれよ!

 グリム童話、ヴィルヘルム・ブッシュ、ハイジ……あたりの古典から、わたしの好きなホッツェンプロッツとフンケももちろんあります。ケストナーは1冊、エンデが2冊。この2冊って、あれとあれだと思うでしょうが、それじゃないんですよ。
 登場数が一番多いのが、共に3作の、クリスティーネ・ネストリンガーとユッタ・リヒター。すみません、両者とも知らなかった。面白そうなので読みます。

 ほかに現代の作品で、邦訳があるのは、
赤いUの秘密
ひいおじいさんとぼく
おばあちゃん
日曜日だけのママ
海賊の心臓
幸せを待ちながら
67番地の子どもたち
赤毛のゾラ
あのころはフリードリヒがいた
あの年の春は早くきた
みえない雲
世界がまだ若かったころ

 50冊のリスト見たいひとがいたら、送りますよ?  

本 セバスチャン・フィツェック

 ドイツの大ベストセラー作家、セバスチャン・フィツェック(Sebastian Fitzek)。
 どのくらい人気かというと、デビュー作から出すたび、アマゾンでレビューが何百もつくくらい(多いので700超えてる)。そのせいか、一時期、新刊チェックしてると、よくフィツェックさんのおすすめコメントついてました。売上げに影響するのかしらねえ。日本でも4作が訳されてるので、ご存知の方も多いかと思います。

 前からちょろちょろ読んでたのですが、このたび晴れて邦訳4作読み終えたので、まとめて書いてみます。


治療島/Die Therapie
  

 娘が行方不明になった精神科医ヴィクトル。小さな島で独り過ごしていたところに、治療をしてほしいと女がやって来る。女はヴィクトルの娘と奇妙に符合する少女の話を語りだす。

 フィツェックの作品は、「ノンストップ・サイコスリラー」や「ジェットコースター」と評されていて、たしかに「えー、どうなるの?」と続きが気になるお話ばかり。でも、このラストは賛否両論かなあ。わたしは「なんだよ、それ~」と言いました。とはいえ、途中の、島にいて、嵐が来て、頭痛・発熱で具合わるくて…という閉じた感じ、不自由な感じがやたら印象に残ってます。その状態で、次々わかる事実、起こる出来事に対応していかなきゃならないというね。
 あと、この人、比喩が面白いの。たしかこの本だと思って探して見つからなかったんだけど、不安になった状態を、「夜中に信号で車を停めて、向こうから人が歩いてくるのを見たときに思わずドアをロックするような」みたいに書いてたのとか、わかる、と思った。


ラジオ・キラー/Amokspiel
  

 犯罪心理学者で警察の交渉人のイーラは、ラジオ局で起こった立てこもり事件に連れだされる。犯人はラジオを使って人質殺人ゲームを始め、さらに、事故死した婚約者を連れてくるよう要求した。

 こちらは、まず主人公がその日に自殺しようとしていたという最悪の精神状態で始まります。犯人とはラジオをとおしてしか話ができないし、事故死した婚約者の存在は謎だらけ。で、主人公のイーラが魅力的。この話が一番好きかな。


前世療法/Das Kind
  

 弁護士のシュテルンは、10歳の少年に依頼を申し込まれる。重い病気の少年は前世療法を受けており、15年前に人を殺したと告白する。

 霧雨のベルリン、ITによる逃げようのない監視。またもやそんな雰囲気作りがたまりません。カメラがリアルタイムで迫ってくるところなんてこわかったなあ。それから、少年の前世じゃない思い出で、他の人にしたらなんてことないけど何度も頭に浮かんでくる光景なんて、誰にでもあるよなあと思う。そして、シュテルンは骨折るわ、血まみれだわ…。


サイコブレイカー/Der Seelenbrecher
  

 若い女性の体には傷をつけず、精神だけを破壊する<サイコブレイカー>。ある雪の夜、精神病院で新たな被害者が出る。そして、残された職員や患者も一人ひとり消えていく。

 心理学実験のためのカルテ(↑のあらすじ)と、それを読む学生の二重構造になってるお話。つまり、本を読む読者もその実験に参加することになるという仕掛け…なのだが、ちと『ドグラ・マグラ』を連想してしまったな。
 ここでは、吹雪に加え、安全装置のはずのシャッターに閉じ込められ、ちゃんと電話も使えません。しかも、主人公は記憶喪失で、前作同様、どんどん怪我していくうえに麻酔まで打たれる。
 犯人はぜんぜんわからなかったけど、それ以上にくやしかったのが、作中に歌詞が出てくる曲がキュアーのだと気づけなかったこと! あんなに聞いてたのに。


 以上4作、柏書房、赤根洋子さん訳で出てて、しばらく邦訳止まってるなーと思ってたら、ハヤカワから出るらしい。楽しみ。

絵本 『死神さんとアヒルさん』

 前にちょっと「ドイツ語の絵本で面白そうなのがあったら教えて」という話があって、調べたことがありました。
 そしたら、あれね、絵本・児童書関係はさすがに層が厚いというか、わたしがちょっと調べて、面白そうだな、人気みたいだなと思う本はもうちゃんと日本語に訳されてるのね。

 たとえば、ミラ・ローベ(文)×ズージ・ヴァイゲル(絵)
   

または、ユッタ・バウアー
   

はたまた、ロートラウト・スザンネ ベルナー(ズザンネ表記もあり)
   

 で、先日、表紙が気になってた『死神さんとアヒルさん』を読んでみました。
   
Wolf Erlbruch / ヴォルフ・エァルブルッフ 作・絵  三浦 美紀子 訳
(『うんち したのは だれよ!』の絵もこの人です)

 ある日、アヒルさんは後ろに誰かががいることに気づきます。それが死神さんで、アヒルさんが生まれてからずっとそばにいたというのです。――そのときのために。
 あとは、言わずもがな、ですね。

 すごくしんとした感じの絵本です。でもね、死神さんがチェックのワンピース着ててかわいい。アヒルさんのリアクション顔がおもしろい。ドイツのアマゾンで少し中が見られるのでのぞいてみてください。
 それから、死というものに慣れてる死神さんと、その登場にドキドキしてるアヒルさんが仲よくなったり、ちょっと険悪になったりする。
 最後のシーンは敬意を感じさせるけど、それでもわたしは、死んだあとのことなんて本当にわかるの? と迫ったアヒルさんが残って、つまりは、止められるもんなら止めたいとじたばたしちゃうんだな。


 ドイツの絵本で検索してこのブログに来る人も多いみたいですが、おすすめなどありましたら教えてください。

 追記:「絵本ナビ」にドイツの絵本についてまとめたページがありました。

本 "Mobile" Andreas Richter

 これは、ずっと前にドイツの本屋で見つけた本。表紙の感じとか、ちょっと中を見た感じが気に入って。

 ホラーです。でも、あんまり怖くない。そして、ラストがちょっと弱い。最初に読んだときは「続編狙ってるのか?」と思った。でもねー、この本なんか印象に残ってるんですよ。

 ああ、その前にあらすじか。
 これはまずタイトルになってる「Mobile」が問題なんです。あれですよ、赤ちゃんの寝てる上に飾って、人形とかついてて、回ったりするようになってるやつ。日本語でなんていうんだろうと思って調べたら、モビールでいいらしい。昔あれ、なんて呼んでただろう?

 Joachim(ヨアヒム)は、実家の整理をしていて見つけたモビールを子どもの部屋に飾る。その日から子どもの様子がおかしくなる。そして、ヨアヒムは気づく、モビールにぶら下がっている木の人形のひとつが、髪、目…と順々に色を失っていくことに……。

 というわけで、全部の色が消えたときに何かが起きる。ヨアヒムは時間に追われながらそれを止めようとするんですね。実はこのモビールはいわくつきで、ヨアヒムが子供のときに友達とアンティークショップから盗んだものなんです。で、手がかりを求めてその友達、Michael(ミヒャエル)を探し出し、二人は一緒に謎を追う、と。

 このミヒャエルがいいんです。わたし、この本は表の主人公がヨアヒムで、裏の主人公がミヒャエルだと思ってます。
 ミヒャエルは過去につらいことがあって、人と接触の少ない、ちょっとやさぐれた生活をしている。いや、わたしだって、最初は思いましたよ。こんないかもにワケありで、口を開けば皮肉や悪態ばっかりの人物、「ああ、この手のキャラね、よくある」って。
 でも読んでいくと、やっぱり……いい。口調がね、生き生きしてるんです。だからもう、読みながら「日本語だったらこんな感じでしゃべるだろうな」って脳内変換が止まらない。「いいかげん黙れよ、ヨー」みたいな(ヨーはヨアヒムのヨーです。ほら、子供のときの友達だからそのままの呼び名)。

 それに切ないんですよ、ミヒャエルの孤独が。彼も昔、盗んだおもちゃを持ち帰ってるんです。それでつらい目にあった。ヨアヒムが40歳近くになって怪奇な出来事にあって受け止められないのに対して、幼いころに経験してずっと抱えてきたミヒャエルは対応もその後の人生もすごく違う。
 久しぶりに読み返してみて、作者はこの人物を書きたかったのかもしれないなあと思った。だから、わたしも言います。ちくしょう、ミヒャエル好きだー。

本 『HARIBO占い』

さて、タイトルの本です。
初の訳書になります。4月末に出ました。
内容はそのまま、HARIBO のグミを5つ引いて、その色の組み合わせで占うというもの。
虚実とりまぜたエピソードを入れながら、おかしく、ときにシビアに占ってます。わたしは翻訳中、著者のディートマー・ビットリッヒのことを心のなかで「おちゃめなおじさん」と呼んでいました。
(グミで占うという発想も、著者の語り口もなかなかにふざけてますが、言ってることは非常にまともですよー。くりかえし出てくるのは、自分から行動する、自分を認める、こびりついた自分を邪魔する考えを整理してすっきりさせるといった、まあ、軸を自分に移そうよって話。それにいろんな人や小話をからめて書いてるから、ふつうに読んでも楽しめると思います)

今回のは、以前、短期の文芸翻訳講座に通ったことがあって、そのときお世話になった翻訳会社さんからお話をいただきました。
占いの結果を全部読むというのもなかなかないもんです(しかも126通りある)。「明快」とか「制約」とか抽象的なキーワードもいっぱいで、どれにしたら一番伝わるのか、訳語の統一もあって考え込みました。
下訳の経験はあったけど、本を1冊訳すのは独特のプレッシャーで、新聞広告で翻訳書を見るたびに「みんなこんな大変な思いをしてできてるのねー」と思ったり(←一緒にするな)。
いろんな人の力があって、総カラーのかわいい本ができました。
こちらのサイトからお試し占いもできるので、よかったら占ってみてください。
ちなみにわたしは一番確率が低いという各色1つずつの組み合わせを引きました。


ディートマー・ビットリッヒ 著
長谷川 早苗 訳
阪急コミュニケーションズ

本 『不実な美女か貞淑な醜女か』 米原万里

ロシア語通訳者だった米原万里さんの有名な本ですね。
この本をやっと読みました。

不実な美女か貞淑な醜女(ブス)か (新潮文庫)

いつか読むとは思っていたんですよ。
でも、その前に「ほぼ日」で米原さんの対談があって、こわいなぁというイメージを持ち、近づけなかったのです。
(その対談はこちら。サイトの作り方の関係で対談の最終回がトップページになっています。バックナンバーはページ下に)

そして……、面白かった。
ふだん自分がぼんやり考えていることが、言葉ではっきり整理される気持よさがありました。
現場の話だけじゃなくて、通訳のプロセスを分解してみたり、比較文化の話もあったりします。
こういう先達の話を聞いてよく感じるのですが、なんていうか、ものすごく本を読んでいたり、ものすごく考えていたりして、ケチケチしてないですよね。わたしなんか「この本は読まなくてもいいか~」とか、ケチくさいですもん。

翻訳をしている身には、明瞭に話す大事さというのがまず説明されていたのが目から鱗でした。そうかー、単純に、音声として相手の耳に伝わらなきゃだもんなー。発音とかだけじゃなく、人前で話すということを含めて。
自分がレッスンで教えるときにも、内容の伝え方以外に、その聞こえ方まで気をつけるといいかもしれない。
あと、ごくまれに通訳らしきことをする機会があって、今回、やっとこの本を手にとったのもそのため。通訳の友人もすすめてくれたし。
ほんと何年寝かしたんだという感じだけど、もっと早く読めばよかったと思わなくもないけど、でも、いま読んでよかったと思う。読む時期だったんだろうな。

本 "Verbrechen" Ferdinand von Schirach

これは去年、Amazon.deでやたら見かけて、チェックした本。

そのうちに、「2009年の1冊」くらいに評されるようになっていて、あわてて入手した。
あれは今年の1月だったか、2月だったか。読んでいる途中にふとのぞいた出版社サイトで、「版権が20か国に売れた」との、前には書かれてなかった文章を発見。20あれば、日本も入ってるよね。しかもその後、調べたらサイトによっては数字が30に増えてたよ……。あれだけ話題だったんだから、当たり前といえば当たり前です。

Verbrechen
Verbrechen: Ferdinand von Schirach

さてさて、どんな本かといいますと。
弁護士である著者が、自分の担当した事件をもとに書いた短編集です。
しかも、中でも変わった事件の話を集めています。

何十年も一緒にいた妻を斧で殺した、おとなしい医者
家宝の茶碗を盗まれた日本人(これはこわかった)
恋人が殺したと勘違いして死体を処理しようとする男
目にうつるものが数字に見える青年
銀行強盗をして逃げなかった男(これはせつない)

など、11本の話が入っています。

文章は、調書とかってこういう感じかなと思わせるような形で、出来事を短くつないでいきます。
そして、弁護人としての法的な視点が入っています。
たとえば、妻を殺した医者の場合、本人が警察に通報しているし、状況的にも彼が殺したことは明らかです。ですが、弁護人である著者は、罰というのは再犯を防ぐ意味もある、この医者については再び誰かを殺すことはないと論を進めていきます。
起訴するかを検察と相談するところもあったり。そういうことあるのか。

ただ、本の評判がすごすぎた分、期待がじゃまになった、かも。たしかに、猟奇的関心を満たす部分もあるし、でも、関係者として無闇にあおりすぎていなくて、考えさせる部分もある。ちょっとちがいますが、日本だと『死体は語る』とかありますよね。
(ところで『死体は語る』には、各ケースの説明をするときに、誰がという主語なしでいきなり始まるところがある。例をあげると、<似たような交通事故を扱ったことがある。就寝中、突然うなり声をあげて息絶えた>のような。これ、新しい話題ですよ。誰かはこの後なんです。でも別に読んでて困らないの。この切りとり方、驚いた。すごい)

とにもかくにも、ドイツではすでに今年8月に第2弾"Schuld"が出てます。ちなみにSchuldは「罪」、Verbrechenは「犯罪」という意味です。
さて、邦訳は(いつ)出るのでしょうか。


   *追記 出ました! 東京創元社より 『犯罪』 フェルディナント・フォン・シーラッハ 酒寄進一 訳
     原書の表紙も印象的ですが、こちらもいいですなー。

本 "Zehn" Franka Potente

タイトルを見て、お気づきの方はもうおわかりかもしれません。
そう、あのフランカ・ポテンテが本を、小説を書いたそうなんです(一応書いておくと、フランカ・ポテンテは「ラン・ローラ・ラン」や「ボーン・アイデンティティ」などに出ている女優さんです)。

Zehn
Zehn: Stories: Franka Potente

タイトル(Zehn=10)が表すとおり、10の話が入った短編集で、しかもその話すべての舞台が日本になっています。だからよく見ると、表紙に漢字で「十」って書いてありますね。
それで、日本が舞台といっても、ドイツ人が日本に来て……という話ではなくて、日本人が主人公の、日常を描いた内容になっているそうです。
なんで日本なんだろうと少し調べてみたら、映画の撮影で日本に来たことがあって、それ以来たびたび訪れてるとか。
本人が朗読するオーディオブックも出てます。発売元のサイトで視聴できます。個別リンクができなかったので、探してみてください。

いくつか書評見てみましたが、けっこう評判いいみたい。よくある日本のエキゾチックさを強調したものでなくて、淡々とした筆致で書いているらしい。お店やってる主婦とか。
(余談ですが、調べてる途中で、日本文学の翻訳本や日本関連本を集めてるサイト(Japanliteratur)見つけた。こんなのも訳されてるんだ~と眺めてるだけで面白い。なんといっても、サイト主さんが学生さんらしくて、一生懸命、情報を集めてる感じが伝わってきてかわいらしい。がんばってくださいねー)

この本のことはいつもチェックしてる書評ブログ(Liisas Litblog)で知ったんだけど、「これが日本で訳されたらどんな反応になるか見たい」って書いてあった。
そうなのよ、これ、訳されるかな? 「フランカ・ポテンテが日本を書く」ってそれなりの話題性はあると思う。きっともうチェックしてるところもあると思う。でも、うーん、どうなのだろう。読んでみないとわからないか。

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プロフィール

  • ぐんまでドイツ語を訳したり教えたりしてます。実務、出版、リーディング、チェック、いろいろします。名前はとりあえず はせ で。

    ドイツ語に興味を持ったのは、『ホッツェンプロッツ』を読んだのがきっかけ、でしょうか。
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