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映画 『ファウスト』

 さて、ロシアの巨匠、アレクサンドル・ソクーロフ監督。

 この監督の映画は何度か観てます。ぐんまには高崎映画祭という誇るべきものがあって、高校のころからここでいろんな映画を教えてもらいました。で、この映画祭が明らかに好きなんだろうという監督が何人かいて、その1人がソクーロフ監督です。たしか、映画祭に監督が来たことがあったような。

 そのソクーロフ監督がファウストを撮る。
 しかも、レーニン、ヒトラー、昭和天皇を描いた、権力者3部作とも呼ばれたシリーズの最後だという(つまり、4部作だった!)。この監督、舞台になる国の言葉を使いますからね。翻訳は、日本で公開されるドイツ映画を次々と手がけている吉川美奈子さんです。

 東京での公開から数か月後、とうとう『ファウスト』、やってきました。傑作『太陽』(昭和天皇の話)を上映してくれたシネマテークたかさきです(←映画祭からできた映画館)。


公式サイト

 とにかく密度が濃いんだ。
 始まってしばらくして、ファウストは「寝てないし、食べてない」と言う。そして、欲望の羅列がつづくのね。知、お金、名誉を求めて、時間がないと言い、恋した女性を追う。
 さらに、人との距離が近いんです。これは、距離「感」とかいうことじゃなくて、実際に、相手の顔が近かったり、人が押しあいへしあいしてたりする。しかも、この映画、たぶん1日の話。時間やら距離やら何やらが、ぎゅーっと濃縮してる。
 前半の街の場面は、あまりの濃さに「わたしはここでは暮らせない……」と思った。

 難解と言われるソクーロフ作品だけあって、「これは何だろう? どういうことだろう?」と思う部分がありつつ、ときおり、圧倒的に美しいシーンが来る。そう、圧倒的なの。

 ファウストとマルガレーテが泉に倒れて、波紋が一重だけ広がるシーン。
 後半になるにつれて色づいてくる画面の緑。
 ポスターなどで使われていた金色に輝くマルガレーテ。「え、あれ、このシーンで?」ってところで登場して、長くつづく。わたしはここが一番「これは何だ!?」と思った。しかも、じっと見てると、マルガレーテの顔がゆがんで見えることがある。わたしには彼女がただ無垢には見えなかった。

 そして、最後の、大地から熱水のふきだす場面。窪地に水が集まっては、ものすごい音を立てて飛び上がる。音と映像が相まって、何度も繰り返されて、もう本当に「ここにいたくない!」と思って、外に逃げたくなった。
 すごいパワー。パワーのある作品だった。


 観終わって、廊下に貼ってある『ファウスト』評の切り抜きを読む。だって、こんな映画、ほかの人がどう観てるか気になるじゃないか。そしたら、似たように読みまわってる人がいて、その人につられて、パンフを買ってしまった。もうあんまり買わないようにしようと思ってるんですけどね・・

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