« 上毛新聞寄稿 「外国語を学ぶこと――異なる考え方にふれる」 | トップページ | オピニオン21掲載 「翻訳の仕事――地道に続けること大切」 »

映画 『アルマニヤ』と『ホテル・ルックス』

 ドイツ文化会館であった「ドイツ映画特集」を観に行ったのは、もうしばらく前の話・・。

 電車の遅れもあって、上映作4本中2本をみてきました。
 でもねえ、見逃したアンドレアス・ドレーゼン監督の『どうする、人生真っただ中』はちょっとみるのを迷ってたんだよねえ。だから、みられなくなってちょっとほっとしたというか・・。この話、主人公が余命数か月の話なんですよね。昨年、ずっとそばにいた祖父をなくしたところで、これをみたら鼻水やばいかなあ、と。もう1本は『若き天才音楽家たち』。本物の神童が出てるとのことで、この2本はあとでみられるならみたいなあ。

 で、『アルマニヤ――ドイツへようこそ』 ヤセミン・サムデレリ 監督
    Almanya - Willkommen in Deutschland

 ドイツに働きに来て、ずっと暮らして孫までできて、ドイツ国籍もとったトルコ人夫婦。いや、すでにドイツ人なわけですが。おじいさんがトルコに家を買ったと言いだし、みんなそろって向かうことになります。トルコ移民の多いドイツらしいお話です。
 ははは、って、もろにおじいさんの話じゃないか! このおじいさん役の俳優さんが、若いときの人も、年取ってからの役の人もいい顔してるのねえ。しかも、あらすじをちゃんと読んでなかったわたしは途中で気づきました。このおじいさん、亡くなってしまう。でも、コミカルな作りだったし、後ろの人の少ない席だったので、そう周りに迷惑はかけなかったかと思います。
 そう、この映画、コメディ仕立てなので、異文化の対立みたいな辺りはあまり突っ込まずにさらりと描いてます。おじいさんの冠詞を抜かして話すドイツ語に親近感をもったなあ。基本的にドイツ語で進行してるので、移住して言葉がわからない!というシーンで、ドイツ人が逆にトルコ語でしゃべってる演出が面白かった。そして、トルコの景色が魅力的。高橋由佳利さんのエッセイまんが『トルコで私も考えた』読んでから、いつかは行ってみたい国のひとつです。

 次は、『ホテル・ルックス』 レアンダー・ハウスマン 監督
      Hotel Lux

 ナチス台頭の時代に、ベルリンでヒトラーを演じていたコメディアン俳優。そりゃあ身に危険も迫るでしょう。偽造パスポートを手に、モスクワのホテル・ルックスに逃げ込みます。偽造パスポートを持ってますからね、他人を演じることになるわけです。それがまた特殊な人物で・・ってごたごたと、共産ネタ。こちらもコメディ仕立てであります。
 このホテル、実在したらしい。で、登場人物も実在の人が多数。これまたドイツらしい歴史がらみの話です。

 会場にはドイツの人もけっこういたんですが、ドイツの人と映画みるって向こうにいたときも思ったけど面白いねえ。わたしも笑ったりしてたけど、「え? そこでそんなに爆笑?」とかあったり。ネズミでかかったなあ。最初にヒトラー演じてたのがユルゲン・フォーゲルだって、一瞬気づかなかったよ。
 この映画、いまこうして書いててちょっと不思議に思ったのが、登場人物の誰にも共感してないんだよね。と言っても、その言動が理解できない、支持できないっていう意味じゃなくて、わたしは感情移入してみるほうでたいてい誰かに思い入れたり、反発を感じたりするんだけど、そういうのがなかったなあ。なんだろう、そうに作ってあるのかな? 監督さんは"Sonnenalle"や"Herr Lehmann"なども撮った人だそうです。

 ということで、まさにドイツの「現在」と「過去」の2本でした。

2013年9月 追記:
『アルマニヤ――ドイツへようこそ』は、『おじいちゃんの里帰り』というタイトルで劇場公開されるそうです。
『若き天才音楽家たち』も、『命をつなぐバイオリン』として公開されてました。かなり重い映画でした。

« 上毛新聞寄稿 「外国語を学ぶこと――異なる考え方にふれる」 | トップページ | オピニオン21掲載 「翻訳の仕事――地道に続けること大切」 »

映画など」カテゴリの記事

コメント

こんばんは。というか、初めまして。
ドイツ語の翻訳スクール的なものを探していてこちらにたどり着きました。

さて、僕もあの日映画特集見ました。朝から晩まで4本連続で。。。
B1(ZD)を受ける直前だったので、リスニング対策になるかと思いましたが、疲れて、お尻は痛いしで大変でした。

 クラシック音楽が割と好きなので、1本目のWunderkinderはガツんと来ました。そりゃあものすごかったです。そしてもちろん泣きました。ミスをしたらヤバいという場面だって分かっているのに、なんであんな難しい曲を選ぶの??っていう辺りは、若いながらも妥協しない「プロ根性」みたいなものを感じさせて、観ている自分がどうにも恥ずかしくなりました。。。
 2本目の「どうする、人生まっ只中」は、そろそろ自分が親の介護を考えなきゃならない年齢になっただけに、そこそこ身近なテーマで関心を持って見られました。旦那さんを介護する奥さんがけなげで、すばらしかった。フィクションとはいえ、自分はまだまだ恵まれた存在なのだなと実感させられましたね。

上記の2本も、見る機会がまたあるといいですね。

(もしよろしければ、技術翻訳の学習に好適な機関などお心当たりあれば、教えていただけませんでしょうか?)

スケ。さん、こんにちは。はじめまして。

観られなかった2本の紹介、ありがとうございました。
同じ会場にいたのですね。
こう感想を聞くと、やはりどちらも面白そうですね。せっかく字幕つけたんだし、DVD化してくれれればいいのですが!

ところで、ドイツ語の翻訳を考えられているとのこと。
こちらの「ドイツ語翻訳を勉強できるところ( http://doitutoka.txt-nifty.com/blog/2005/03/post_6.html )」をご覧くださったのでしょうか。このページが検索にひっかかって覗いてくださる方が多いみたいで、ありがたいです。
ドイツ語で翻訳となると学ぶところを探すのもちょっと大変ですよね。とくに技術翻訳となるとあまりないですが、ゲーテに実務系のコースがあると思います。あとは記事を訳す課題はわりとあるかも。
わたしは実際の仕事で学んだのが大きくて、ほかに英語のクラスに入り込んだり、英語だと翻訳の情報もいろいろあるのでそういうもので学んだりしてきました。

翻訳の勉強自体で言えば、日独併記の書籍やサイトなどを使って自分で訳して学ぶこともできると思います。

あまり答えになってないですが、勉強がうまくいくよう祈ってます。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/56001/53896995

この記事へのトラックバック一覧です: 映画 『アルマニヤ』と『ホテル・ルックス』:

« 上毛新聞寄稿 「外国語を学ぶこと――異なる考え方にふれる」 | トップページ | オピニオン21掲載 「翻訳の仕事――地道に続けること大切」 »

プロフィール

  • ぐんまでドイツ語を訳したり教えたりしてます。実務、出版、リーディング、チェック、いろいろします。名前はとりあえず はせ で。

    ドイツ語に興味を持ったのは、『ホッツェンプロッツ』を読んだのがきっかけ、でしょうか。
    読んだドイツ語本のリストはこちら

    出版翻訳について知りたいなら
    翻訳家のひよこ(ひよこの心得)
    ドイツ語圏のミステリーなら
    ドイツ・ミステリーの館『青猫亭』
    がおすすめです。くりかえし読んでます。

    メールは hasefutaあgmail.com まで。

    <訳書>

    裏話はこちら

無料ブログはココログ

最近のトラックバック