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本 "Verbrechen" Ferdinand von Schirach

これは去年、Amazon.deでやたら見かけて、チェックした本。

そのうちに、「2009年の1冊」くらいに評されるようになっていて、あわてて入手した。
あれは今年の1月だったか、2月だったか。読んでいる途中にふとのぞいた出版社サイトで、「版権が20か国に売れた」との、前には書かれてなかった文章を発見。20あれば、日本も入ってるよね。しかもその後、調べたらサイトによっては数字が30に増えてたよ……。あれだけ話題だったんだから、当たり前といえば当たり前です。

Verbrechen
Verbrechen: Ferdinand von Schirach

さてさて、どんな本かといいますと。
弁護士である著者が、自分の担当した事件をもとに書いた短編集です。
しかも、中でも変わった事件の話を集めています。

何十年も一緒にいた妻を斧で殺した、おとなしい医者
家宝の茶碗を盗まれた日本人(これはこわかった)
恋人が殺したと勘違いして死体を処理しようとする男
目にうつるものが数字に見える青年
銀行強盗をして逃げなかった男(これはせつない)

など、11本の話が入っています。

文章は、調書とかってこういう感じかなと思わせるような形で、出来事を短くつないでいきます。
そして、弁護人としての法的な視点が入っています。
たとえば、妻を殺した医者の場合、本人が警察に通報しているし、状況的にも彼が殺したことは明らかです。ですが、弁護人である著者は、罰というのは再犯を防ぐ意味もある、この医者については再び誰かを殺すことはないと論を進めていきます。
起訴するかを検察と相談するところもあったり。そういうことあるのか。

ただ、本の評判がすごすぎた分、期待がじゃまになった、かも。たしかに、猟奇的関心を満たす部分もあるし、でも、関係者として無闇にあおりすぎていなくて、考えさせる部分もある。ちょっとちがいますが、日本だと『死体は語る』とかありますよね。
(ところで『死体は語る』には、各ケースの説明をするときに、誰がという主語なしでいきなり始まるところがある。例をあげると、<似たような交通事故を扱ったことがある。就寝中、突然うなり声をあげて息絶えた>のような。これ、新しい話題ですよ。誰かはこの後なんです。でも別に読んでて困らないの。この切りとり方、驚いた。すごい)

とにもかくにも、ドイツではすでに今年8月に第2弾"Schuld"が出てます。ちなみにSchuldは「罪」、Verbrechenは「犯罪」という意味です。
さて、邦訳は(いつ)出るのでしょうか。


   *追記 出ました! 東京創元社より 『犯罪』 フェルディナント・フォン・シーラッハ 酒寄進一 訳
     原書の表紙も印象的ですが、こちらもいいですなー。

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