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 えーと、まずはこちらふたつの引用をお読みください。

(…)また「蟲めずる姫君」一編の作者を、通俗に反して女ではないかと想像し、その理由を、この作品が「本質的にナルシスト」である女性の「自画像」のように思われるからとしているのも(「蟲めずる姫君」)、その他枚挙にいとまないほどの個所において同様なのだが、いずれの場合にも、田辺さんが女である自らの眼と心によってその作品をいとおしみ、読みこんだ挙句、わがものとしてしまったところから来る批評であり想像であって、男の読者たる私は、それらの批評や想像に出会うたびに新鮮なおどろきを感じるのである。
  (田辺聖子著「文車日記―私の古典散歩」内の大岡信氏の解説より)

 しかし十八の女の子がジロチョーである事は、ひそかに私を傷つけた。あだ名の困った事は嫌だなと思っても、呼ばれれば返事をしてしまう事である。
  (「神も仏もありませぬ」佐野洋子著)

 あれ?と思うことありました? はい、ひとつめは読点がひとつの一文になっていて、ふたつめは短い二文の中に「事」という言葉が3回(「返事」もあわせると4回)使われているんですね。この二点は私が翻訳を学んできたときに、「一文が長すぎる」、「繰り返しがしつこい」と注意され、それ以来やたらと気をつけている部分であります。あ、だからといって、上記ふたつが悪文だとか言うつもりはないです。ちょっとここで作品に触れておきますと、「文車日記」は何だか近寄りがたい感じのする古典の数々を、手元で「あのね」とみせてくれる本です。引用文は途中からで本当はもっと長い。「神も仏も~」はエッセイです。私は佐野氏の文章や絵が大好きなのだ。でも、この本は苦しい気持ちになったりした。
 話を戻して。このふたつが元々日本語の発想で書かれていてリズムがあるからなのか、私、特にひっかからなかったんですよね。それに、自分で考えて文を書いているときも、訳してるときほどはその辺りに気を使ってない。なんでかなあ。文の長さとか言葉の重複、あと句点の位置などなど、訳してるときはたぶん必要以上に慎重になってる気がする。

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