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外国語と日本語

 以前「独語版「よしもとばなな」」というのを書きました。外国語で本を読んでみるのに、日本人作家の翻訳物なんか逆にどうでしょ? 話わかってると読みやすいし、よしもと作品は特に読みやすいですよーって内容でした。
 んでですね、ブログチェックをしてたら、いつも読んでいるブログ「外国語上達法」に「吉本ばななを読む」って記事があったんです。(「外国語上達法」は10年日本語教師をしてらしたselhaさんのブログで、知識と経験を基に様々な角度から書かれていて興味深いです)
 おおう?と思いつつ読んでみると、生徒の要望によりレッスンで吉本作品を読んでみたが、小説を読むには生徒の語彙が足りず、レッスン内容を変えることになったとのこと。
 あらー、うーん、でも難しいだろうな。と、思いました。
 よしもと作品は読みやすいって自分で書いてたのに、矛盾してるように聞こえます? うむ。読めなかった/読めた理由っていくつか挙げられると思うんです。でも、それぞれのアプローチが逆方向っていうのも大きいんじゃないかと。一人は外国(語)の作品を原語で読んで、一人は母国(語)の作品を外国語で読んだっていう。
 で、これは「なんでわざわざ日本の作品の翻訳をすすめる?」「ドイツ語としてはどう?」って疑問の答えにもなると思います。

 ドイツ語版よしもと作品を読む前に、ドイツの児童書をドイツ語で読んでました。でも、よしもと作品を読んだときの方がすっすっと入ってきたんです。なんでだろ? 何回も読んで覚えてたからかなあ。でも、児童書の方だって、しばらく読んでないから細かいとこは忘れてたけど、何度も読んだからあらすじはわかってるのになあ。それで、考えて、元が日本語で書かれたものだからかなあと思ったのでした。
 そもそも日本語とドイツ語って、文字も違えば、単語も違い、文法も違って、さらに文章にしたときの文同士のつなぎ方なんかも違います。いや、当たり前といえば当たり前なんですけど、翻訳という形で両言語を対応させたりなんかすると、「うー、ほんっとに違うー」と頭を抱えてしまいます。
 そして、これだけ違うと、発想法だか思考法だかも違うようなんですね。うん、考え方が違う。あ、これは価値観とかそういうことではなくて、考える順序とか流れとかそういうことです。「言語が違うから思考法が違うのか、思考法が違うから言語が違うのか」なんて言いますよね。
 さらに、小説ということで言えば、登場する生活の場が異なります。生活様式、人との付き合い方や距離感、あいさつや会話の流れなどなど。
 こうしたことから、翻訳された日本の作品が読みやすいとなるのではないかと思います。言葉はドイツ語でも、もとにある思考や設定などが日本のものなので、受け取りやすくなっているのではないのかと。
 はい、これがおすすめした理由です。「ドイツ語としては」ってほうは、同じく上に書いた意味で、間違ってはいないけどおかしいところはあるかもですね。
 どうに訳されてるかみるのも勉強になりますし、やはり元々ドイツ語で書かれたものを読んでドイツ語の思考法やらリズムに慣れるのが大事ってことでもありますから、これで1冊読んで自信を付けて次へ行く。外国語で読める小説を選ぶって難しいので、そんなのも有りかなあと思うのでした。

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コメント

selhaです。トラックバックありがとうございました。
ご指摘、刺激になります。感謝です。

ただ、問題は、はせさんのドイツ語の語学力と、アイルランド人日本語学習者の日本語運用レベルが、相当かけ離れているところにあることにつきるのではないかと。小説を教材にすること自体に問題があるのではないと思います。
私も高校のころ、The Catcher in the Ryeをペーパーバックで読もうとして挫折した経験あり。英語である程度の意思疎通ができるようになってから読み直したら、面白く読めました。

ただ童話や小説が中級者以上にも難しく感じる点があるのは、はせさんのおっしゃるとおり、「cultural literacy」の壁があるからです。アイルランド人学習者は日本に住んで時間がたっていたので、「かつ丼」で問題ないのですが、外国在住の場合は「かつ丼」が高級料理か庶民の食べるものなのか、想像つかないですからねえ。

これからもよろしくお願いします。


selhaさん、コメントこちらにくださったのですね。ありがとうございます。
えーと、語学力なんですが、当時私は初級コースが終わったくらいでしたから、日本滞在3年、中級の検定合格済みという生徒さんより、低い…です……。ただ、翻訳というのが元々頭にありましたので、勉強の仕方とか目指す方向が生徒さんと違う→それが関係した、のかもしれませんね。
「cultural literacy」というのですか。そのあたりは本当に難しいですよね。どういう物なのかはもちろん、どんな捉えられ方をしているのかも問題になりますものね。
まだまだ学ぶことだらけです。こちらこそよろしくお願いします。

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  • ぐんまでドイツ語を訳したり教えたりしてます。実務、出版、リーディング、チェック、いろいろします。名前はとりあえず はせ で。

    ドイツ語に興味を持ったのは、『ホッツェンプロッツ』を読んだのがきっかけ、でしょうか。
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