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Lesung

 「ドイツ語情報の広場」2005年3月25日編集の記事で、「多和田葉子がゲーテ賞2005を受賞」と紹介されていました。

多和田葉子――ドイツ・ハンブルク在住。日本語とドイツ語で創作活動を行い、日本・ドイツで本を出している。「犬婿入り」で芥川賞受賞。

 ドイツにいたとき、この方の"Lesung"に行ったことがあります。Lesungというのは、作家や詩人が自分の作品を朗読して、そのあとにちょっとした質疑応答なんかもできるものです。ドイツは作家と読者の距離が近いのかも。結構、本屋やレストランなどでLesungやってました。

 マンハイムに滞在してしばらくしたころ、隣町のLudwigshafenルードヴィヒスハーフェンで多和田葉子氏がLesungをすることを知りました。これはぜひ行かねばと思い、日本語を勉強しているドイツ人と日本人の友達を誘って行くと、日本人は私達だけでした。ちょっと意外だった。
 ひとつの詩をドイツ語→ドイツ語と日本語交ぜた形→日本語と読んだり、外国語についての散文を読んだりと、ドイツ語が全て聞き取れたわけではないのですが、とても興味深かったです。終わってから思い切って話しかけてしまいました。

 Lesungは以前にも一度体験してまして、そのときはマンハイムのゲーテ・インスティトゥート(ドイツ語学校)ででした。いらしたのは、詩人と作家。放課後の催しで自由参加、生徒以外の人も可で、集まったのはほとんど地元の方。
 詩人の女性はもう初老といった感じでしたが、作品は英語をとりまぜたもの。話し方も力強い。作家も初老、風邪で高熱を出したばかりだったそうで、話すのがつらそうでした。おぼろげにわかった作品の内容からも二人の様子からも、私は作家のほうに惹かれました。
 質問のときは、詩人の作品で盛り上がりました。「英語を使いすぎるのはよくない。もっとドイツ語を大事にしないと」との意見が。反論する詩人。あー、日本でもよくある話題だー。
 すると一人が言った。「でも、自分はこういうのはクールだと思う」すると詩人は答えた。「クール? いや、私の作品は冷たい(詩人は英語のcold にあたるkalt という言葉を使った)と言われるけど、それはちがって~」みんないっせいに止めにはいる。「いやいやいや、クールっていうのはここではそういう意味じゃなくて~」説明を試みる人もいたがうまくいかず、結局伝わらない。はー、笑いをこらえるのに苦労しました。
 質問が終わると、この場で本を売ります、サインもしますとなった。どうしよう、せっかくだから欲しいけど、手持ちのお金がない。それにせっかくだから話しかけたいよー。と、うろうろしているうちに、作家が帰り支度を始める。とにかく「あなたの作品に興味を持った」と伝えようと作家の後を追い、「今お金がないので買えないけど、後で本屋で買います」と言うと、彼は「みんなには内緒にしておいて」と本を一冊くれたのだった……
 いや、本当に。実話。いい話でしょ?
 もらった本はこちら。 Wolfgang Jenne "In anderem Sein"

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