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独語版「よしもとばなな」

 外国語をある程度学ぶと、その言語の本を読んでみようと考える方は多いのではないでしょうか? 

 でも、何から読んだらいいかわからない…なかなか最後まで読めない…など、まるまる一冊の本を外国語で、というのは結構大変だったりしますよねー。児童書からはいる方も多いと思いますが(私もそうでした)、児童書って意外と特殊な用語がでてきたりするし、やっぱり大人向けの小説だって読みたい。そこでおすすめしたいのが、よしもとばなな氏の本です。何ヶ国語かで訳されてますので、ドイツ語以外の言語を学ぶ方にもおすすめです。 作品リスト:アマゾン(和書 /洋書) Amazon.de

 えー、異論・反論は、ある、と思います。実際、私は「翻訳文を読むのだったら、もともとドイツ語で書かれたものを読んだほうがいい」と止められました。でもこれは、「外国語で書かれた本を、一冊通して読む」にはいい方法なのではないかと。

 そもそも私が独語版「よしもとばなな」を読もうと思ったのは、ドイツ語でどうに訳されているか興味があったからです。これが読んでみたら読みやすかった。わかりやすいように引用します。どこかのシーンを選ぶのは迷うので、とりあえず冒頭の部分を。

Sarao Takase war ein zweitklassiger Schriftsteller gewesen, der in der USA gelebt und im Laufe seines zweitklassigen Lebens jede Menge Erzählungen geschrieben hatte.
Ansonsten wußte ich noch über ihn, daß er sich im Alter von achtundvierzig Jahren das Leben genommen hatte, daß er mit seiner Frau, von der er getrennt lebte, zwei Kinder hatte und daß seine Erzählungen in einem Band herausgekommen waren, der in der USA für ganz kurze Zeit großen Erfolg gehabt hatte.
("N・P" Banana Yoshimoto (von Annelie Ortmanns-Suzuki))

 いちおう原文も。

 私の知っていたのは、その高瀬皿男という冴えない作家がアメリカに暮らし、冴えない生活のあいまに小説を書きためていたこと。
 48で自殺をして死んだこと。
 別れた妻との間に2人の子供がいたこと。
 彼の書いた小説が一冊の本になり、アメリカでほんのしばらくの期間ヒットしたこと。
   (「N・P」 吉本ばなな著)

 いかがでしょうか? 「よしもと」作品は「日常」が舞台ですし、文章も読みやすいので、ドイツ語でも知っている単語が多く、読みやすいと思います。(よしもと氏は平易な文章で深遠なことを書く作家、と思います)私は日本語で何度も読んでいたので、知らない単語が出てくると話がわからなくなるということもなく、「ああ、ドイツ語だとこういう風に表現できるのかー」と興味深かったです。

 とにかく。一冊最後まで読むことで、自信がつくでしょうし、ドイツ語で書かれた文章を読むことに多少慣れて抵抗感も減るのではないでしょうか? ネットで調べ物などしていると、ドイツのサイトは文が長くて「うあー」となることもありますが、一冊読んだ後なら前ほど長く感じないかも(期待)。そうして次はドイツ語圏の作品へ、というのはどんなもんでしょう。

 他にも結構多くの作家、作品が訳されてますから、自分の好きなものをあたってみるのもいいかもしれません。英語で言えば、桐野夏生氏がエドガー・アラン・ポー賞の候補になったとき話題になった「VERTICAL」社で、積極的に日本の本が英訳されています。

 この方法、「矛盾」で「邪道」してますが、、ひとつの手、ではあります。読んだことのあるもの、話を知っているものの方が、読むとき楽だと思います。こんな逆転法もありなんじゃないか、ということで。

 ちなみに私が読んだ独語版「よしもと」作品は、「N・P」(買った)の他に、図書館で借りた「Kitchen」「Amrita」(ドイツ語題)です。結構、本屋や図書館にも日本のものがありました。桐野夏生氏の「OUT(ドイツ語題"Die Umarmung des Todes")」がドイツで出版されたときは、私がいた街の本屋で入り口に台をつくって山積みになっていて、びっくりしました。

*追記:この「読みやすさ」についてもう少し考えてみました。 →「外国語と日本語」

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