« ドイツ語のきっかけ | トップページ | 目次―ドイツ語・翻訳 »

ホッツェンプロッツ

 なんとなく気になって、プロイスラー(ドイツの作家)の日本語サイトでの検索結果を見ていたら、「この本を読んでストーリーの面白さに単純に引き込まれ、また、お話の中に出てくるおいしそうなドイツ料理に心うばわれた」という書評を「アマゾン」で発見しました。おお、私と一緒。一瞬、自分かと思いました。
 書評は続き、「訳ではなく原作が読めたらどんな感じなんだろう…と思うあまり、ドイツ語を勉強しようかと思ってしまうほどです」と! 「ドイツ語のきっかけ」の回で、今更ながらどうしてドイツ語なんだろうと自問してみたものの、「大どろぼうホッツェンプロッツ」ってそういう本だったんですねー。

 これに力を得て、やります。「ドイツ語のきっかけ」で書いた「名前言い間違え」シーン、原文と日本語版の抜粋。ブログを書くにあたって久しぶりに読んだら、やっぱりよかった。カスパール少年と大どろぼうホッツェンプロッツの会話です。

"Sie wissen es ja viel besser, Herr Plotzenhotz!"
"Plotzenhotz?! - Hotzenplotz heiße ich !"
"Oh, Verzeihung, Herr Lotzenpotz."
"Dummkopf !"
"Wieso?"
"Weil ich Hotzenplotz heiße, zum Donnerwetter ! Kannst du dir nicht mal die einfachsten Namen merken?"
"Aber natürlich, Herr Potzenlotz !"
( "Der Räuber Hotzenplotz" Otfried Preußler)

 日本語版です。訳がまた素晴らしい。

「おじさんのほうが、ずっとよくしっているくせに、プロッツェンホッツさん!」
「プロッツェンホッツだって?! おれは、ホッツェンプロッツというんだぜ!」
「これは、失礼しました、ロッツェンポッツさん。」
「ばかやろう!」
「どうしてですか?」
「ホッツェンプロッツだといったじゃないか、べらぼうめ! おまえには、こんなかんたんきわまる名まえも、おぼえられないのか!」
「そんなことはありませんよ、ポッツェンロッツさん。」
(「大どろぼうホッツェンプロッツ」 オトフリート・プロイスラー作、 中村 浩三 訳) 

 どうでしょう、このテンポのよい会話。続きが読みたくなってきません?

 私はドイツ語の翻訳を勉強しているのですが、こうふたつ並べてみるとそういう意味でも本当に興味深いです。 "die einfachsten Namen" が、「こんなかんたんきわまる名まえ」と訳されているところなどたいへん勉強になります。英語やドイツ語ではよくみかける比較級や最上級は、日本語にしようとするとなかなか悩まされるところで、つい不自然な訳になってしまうんですよね… お、これをもとに「きわめて~」というのも使えそうだなあ。

 前から、「翻訳の練習のために一冊とおして訳してみる、それには日本語訳が出てる本のほうがいいだろう」と思っていたのですが、この二冊…やはり、いいな。
 

« ドイツ語のきっかけ | トップページ | 目次―ドイツ語・翻訳 »

ドイツ語、翻訳など」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/56001/1928284

この記事へのトラックバック一覧です: ホッツェンプロッツ:

« ドイツ語のきっかけ | トップページ | 目次―ドイツ語・翻訳 »

プロフィール

  • ぐんまでドイツ語を訳したり教えたりしてます。実務、出版、リーディング、チェック、いろいろします。名前はとりあえず はせ で。

    ドイツ語に興味を持ったのは、『ホッツェンプロッツ』を読んだのがきっかけ、でしょうか。
    読んだドイツ語本のリストはこちら

    出版翻訳について知りたいなら
    翻訳家のひよこ(ひよこの心得)
    ドイツ語圏のミステリーなら
    ドイツ・ミステリーの館『青猫亭』
    がおすすめです。くりかえし読んでます。

    メールは hasefutaあgmail.com まで。

    <訳書>

    裏話はこちら

無料ブログはココログ

最近のトラックバック