上毛新聞寄稿 「外国語を学ぶこと――異なる考え方にふれる」

 えーと、まずは、上毛って群馬のことね。だから、上毛新聞っていうのは、群馬の新聞です。いや、上毛=群馬ってわかる人の率がわからなかったもので、一応。だって、「群馬って関東なの?」とか聞かれたこともあるのよ・・!

 では、改めて。
 上毛新聞さんには、お世話になっている知人の紹介で、訳書の取材をしていただいたことがありまして(友好賞のときも来てくれた)。それで、ある日、「オピニオン21という欄に書きませんか?」と連絡いただいたのでした。
(うー、自営の仕事なのに、自分の紹介するのいまだに慣れない・・)

 この「視点 オピニオン21」は、群馬にかかわりのある人、数十名が日替わりで登場する欄です。毎年11月から1年間の担当とのことで、ほぼ隔月で6~7回書くことになると思います。タイトルどおり、意見になっていればテーマは自由、なのですが、やはり群馬で独日翻訳をしているという点に目をつけてくれたのだろうから、「ドイツ語/語学」と「翻訳」について書く予定です。ええ、僭越ながら。

 というわけで、第1回は「外国語を学ぶこと」。なんでドイツ語を始めたかとかその辺りから始めました。
 次は、翻訳ですね。打ち合わせ中に「どうすれば翻訳者になれるか」との質問がでたので、説明しつつどう意見にまとめるか、いま案をねっています。

 ネットでも読めるので、よかったら読んでください。
http://www.jomo-news.co.jp/news/kikaku/opinion2011/opinion20111213.html

館林でドイツ語講座

 1月から群馬県館林市で短期のドイツ語講座を開くことになりました。

 お世話になっている知人の紹介で、2009年にもやらせてもらったドイツ語講座。あのときは10人ほどに参加いただきました(群馬で考えるとすごい数だと思う)。うれしいことに勉強を続けたいという方が何人かいて、その後もしばらく通っていました。館林はうち(高崎)からちょっと遠いのですが、母の実家が館林なので気分的にはそんなに遠く感じないのですね。そして、またのご縁です。

 さて今回は、初めての人にも勉強したことある人にも楽しんでもらえるようにと
「旅行で役立つ!日常ドイツ語会話講座」 というタイトルに決定しました。

日時:午後7~9時。全10回
    1月  12日(木)
        19日(木)
        26日(木)
    2月            2日(木)    
         6日(月)    9日(木)
        13日(月)   16日(木)
        20日(月)   23日(木)

場所:分福公民館

参加費:一般 7,000円
     市国際交流協会会員 5,000円

 1月中は木曜、2月は月・木曜とちょっと変則的なのですが、説明を加えつつ、なるべくみなさんに一語でも多くのドイツ語を口にしてもらえるような内容にしたいと思っています。よくあるフレーズをただ丸暗記しても面白くないので、基本的な文法を押さえて応用できるようにして、くりかえし体になじませていければいいな、と。
 市内在住に限らないので、埼玉など近隣の方もどうぞ。お申し込みはこちら、市の国際交流協会まで。http://www.city.tatebayashi.gunma.jp/docs/2011112800097/

本 セバスチャン・フィツェック

 ドイツの大ベストセラー作家、セバスチャン・フィツェック(Sebastian Fitzek)。
 どのくらい人気かというと、デビュー作から出すたび、アマゾンでレビューが何百もつくくらい(多いので700超えてる)。そのせいか、一時期、新刊チェックしてると、よくフィツェックさんのおすすめコメントついてました。売上げに影響するのかしらねえ。日本でも4作が訳されてるので、ご存知の方も多いかと思います。

 前からちょろちょろ読んでたのですが、このたび晴れて邦訳4作読み終えたので、まとめて書いてみます。


治療島/Die Therapie
  

 娘が行方不明になった精神科医ヴィクトル。小さな島で独り過ごしていたところに、治療をしてほしいと女がやって来る。女はヴィクトルの娘と奇妙に符合する少女の話を語りだす。

 フィツェックの作品は、「ノンストップ・サイコスリラー」や「ジェットコースター」と評されていて、たしかに「えー、どうなるの?」と続きが気になるお話ばかり。でも、このラストは賛否両論かなあ。わたしは「なんだよ、それ~」と言いました。とはいえ、途中の、島にいて、嵐が来て、頭痛・発熱で具合わるくて…という閉じた感じ、不自由な感じがやたら印象に残ってます。その状態で、次々わかる事実、起こる出来事に対応していかなきゃならないというね。
 あと、この人、比喩が面白いの。たしかこの本だと思って探して見つからなかったんだけど、不安になった状態を、「夜中に信号で車を停めて、向こうから人が歩いてくるのを見たときに思わずドアをロックするような」みたいに書いてたのとか、わかる、と思った。


ラジオ・キラー/Amokspiel
  

 犯罪心理学者で警察の交渉人のイーラは、ラジオ局で起こった立てこもり事件に連れだされる。犯人はラジオを使って人質殺人ゲームを始め、さらに、事故死した婚約者を連れてくるよう要求した。

 こちらは、まず主人公がその日に自殺しようとしていたという最悪の精神状態で始まります。犯人とはラジオをとおしてしか話ができないし、事故死した婚約者の存在は謎だらけ。で、主人公のイーラが魅力的。この話が一番好きかな。


前世療法/Das Kind
  

 弁護士のシュテルンは、10歳の少年に依頼を申し込まれる。重い病気の少年は前世療法を受けており、15年前に人を殺したと告白する。

 霧雨のベルリン、ITによる逃げようのない監視。またもやそんな雰囲気作りがたまりません。カメラがリアルタイムで迫ってくるところなんてこわかったなあ。それから、少年の前世じゃない思い出で、他の人にしたらなんてことないけど何度も頭に浮かんでくる光景なんて、誰にでもあるよなあと思う。そして、シュテルンは骨折るわ、血まみれだわ…。


サイコブレイカー/Der Seelenbrecher
  

 若い女性の体には傷をつけず、精神だけを破壊する<サイコブレイカー>。ある雪の夜、精神病院で新たな被害者が出る。そして、残された職員や患者も一人ひとり消えていく。

 心理学実験のためのカルテ(↑のあらすじ)と、それを読む学生の二重構造になってるお話。つまり、本を読む読者もその実験に参加することになるという仕掛け…なのだが、ちと『ドグラ・マグラ』を連想してしまったな。
 ここでは、吹雪に加え、安全装置のはずのシャッターに閉じ込められ、ちゃんと電話も使えません。しかも、主人公は記憶喪失で、前作同様、どんどん怪我していくうえに麻酔まで打たれる。
 犯人はぜんぜんわからなかったけど、それ以上にくやしかったのが、作中に歌詞が出てくる曲がキュアーのだと気づけなかったこと! あんなに聞いてたのに。


 以上4作、柏書房、赤根洋子さん訳で出てて、しばらく邦訳止まってるなーと思ってたら、ハヤカワから出るらしい。楽しみ。

絵本 『死神さんとアヒルさん』

 前にちょっと「ドイツ語の絵本で面白そうなのがあったら教えて」という話があって、調べたことがありました。
 そしたら、あれね、絵本・児童書関係はさすがに層が厚いというか、わたしがちょっと調べて、面白そうだな、人気みたいだなと思う本はもうちゃんと日本語に訳されてるのね。

 たとえば、ミラ・ローベ(文)×ズージ・ヴァイゲル(絵)
   

または、ユッタ・バウアー
   

はたまた、ロートラウト・スザンネ ベルナー(ズザンネ表記もあり)
   

 で、先日、表紙が気になってた『死神さんとアヒルさん』を読んでみました。
   
Wolf Erlbruch / ヴォルフ・エァルブルッフ 作・絵  三浦 美紀子 訳
(『うんち したのは だれよ!』の絵もこの人です)

 ある日、アヒルさんは後ろに誰かががいることに気づきます。それが死神さんで、アヒルさんが生まれてからずっとそばにいたというのです。――そのときのために。
 あとは、言わずもがな、ですね。

 すごくしんとした感じの絵本です。でもね、死神さんがチェックのワンピース着ててかわいい。アヒルさんのリアクション顔がおもしろい。ドイツのアマゾンで少し中が見られるのでのぞいてみてください。
 それから、死というものに慣れてる死神さんと、その登場にドキドキしてるアヒルさんが仲よくなったり、ちょっと険悪になったりする。
 最後のシーンは敬意を感じさせるけど、それでもわたしは、死んだあとのことなんて本当にわかるの? と迫ったアヒルさんが残って、つまりは、止められるもんなら止めたいとじたばたしちゃうんだな。


 ドイツの絵本で検索してこのブログに来る人も多いみたいですが、おすすめなどありましたら教えてください。

 追記:「絵本ナビ」にドイツの絵本についてまとめたページがありました。

いろいろあった(セミナーなど)

 土曜はドイツ関係の集まりで、すてきな人たちとお話してきました。日曜は広尾のドイツフェスティバルをのぞいてから、これです! ドイツ映画の翻訳家ありちゅんさんのセミナー! 今回はセリフを取りあげるとのことで楽しみにしてました~。

 あのですね、ブログでのイメージから、わたし、ありちゅんさんてかわいい感じだろうなと思ってたんです。そしたら、スラリとした美人さんなのね。ほうほう、こういう人なのかとじっと見てしまいました。
 それにしても、あれね、久しぶりに教室に座って、目の前の近いところに先生がいて、って、生徒の側もなんか緊張するわね。

 内容はまずは映画の誕生から。ブログでも紹介されてた作品を挙げつつの映画史。ああやって話してもらうと流れがわかりやすかったです。全体を追いながら細部をふくらませてくれるから、見たことのある映画のあらすじも楽しい。やっぱり目の前で話してるのを聞くと、躍動感というか臨場感ありますよね。そして、ところどころにありちゅんさん節が。

 後半は映画のセリフのお話です。言葉自体の説明もあれば、ドイツ事情の説明もあり。ドイツ映画が好むモチーフ(人を操るなど)なんて、興味深い話も出ました。
 とくに印象的だったのが、「グッバイ、レーニン!」でのシーン。壁が崩壊して西のものが入り込んでくるなか、バイトを始めた女の子が「バーガーキングをお選びいただき、ありがとうございます」と言うところ。それまで、社会主義の東では「選択」はなかったとの説明に、こんなところにも意味があるのかと驚きました。
 ちょっと不思議に思ったのが、映画はテレビでの放映時、局によっては訳し直すことがあるそうで、翻訳家さんも別の人になったりするとか。へー。書籍だと著者の死後何十年…という著作権が関係してくると思うんですが、映画は違うのかな?

 ほかにもいろいろメモをとりましたが、このへんで。セミナー後はお茶を飲みながらお話することもできて、楽しく勉強させていだたきました。

«授賞式

プロフィール

  • ぐんまでドイツ語を訳したり教えたりしてます。名前はとりあえず はせ で。

    ドイツ語に興味を持ったのは、『ホッツェンプロッツ』を読んだのがきっかけ、でしょうか。
    読んだドイツ語本のリストはこちら

    出版翻訳について知りたいなら
    翻訳家のひよこ(ひよこの心得)
    ドイツ語圏のミステリーなら
    ドイツ・ミステリーの館『青猫亭』
    がおすすめです。くりかえし読んでます。

    メールは hasefutaあgmail.com まで。

    <訳書>

無料ブログはココログ

最近のトラックバック